2015年までの法話

2008年01月

新年の誓い

暦が新しくなり、平成20年の新春を迎えました。すこやかにご年越のこととお慶び申し上げます。

新年とはいっても、自然の風景や物事が新しくなるわけではないのですが、なぜか目に映るすべてのものが、新しくすがすがしく感じるのは、新年を迎える私たちがすべてを新しくするからなのです。

太陽はいつものように東から昇り、西に沈みます。去年の太陽と別に変わりはないのに日の出を初日といって拝みます。いつも使っている水道の水にも変化はないのに、それを初水といって尊びます。

迎春準備を丹念に心をこめてすればするほど、新春の実感が増すのです。何もしないでおれば、新春を迎えたという気持ちは薄く、単に月日の経過だけに終わってしまうでしょう。そこで家の掃除を普段より念入りに行い、松飾りや注連縄(しめなわ)をとりつけ、鏡餅を供えるなどして家の内(うち)外(そと)をきれいにすると、心まですがすがしくなります。

山、海、里、野の幸(さち)を使った正月料理も、大切な正月の必需品です。それらのめぐみをいただいて、人はこの命をつないでいるのだという実感とともに、感謝の心をはぐくんでくれます。

神仏への初詣でもまた、新しい年の新たな誓いをよびさましてくれるものです。
そうした行いを通じて、新年を迎えた喜びがほのぼのと湧いてくるのです。これが大切なことです。仏教では心ひとつのはたらきが、さまざまな世界を作り出すと説きますが、その心はまた、日々の実践(行い)によって作り出されているのです。これを融通念佛宗の教えからいえば、お念仏を称える実践行(ぎょう)が心を浄化し、幸せの世界を作り出していくのです。

ことしもお念仏の道に精進させていただきましょう。

融通念佛宗 宗務総長
総本山大念佛寺 寺務総長

吉村 暲英
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